宗像国際環境会議に登壇しました|海産物の変化と、海と魚を見つめ直す一日

宗像国際環境会議に登壇しました|海産物の変化と、海と魚を見つめ直す一日

2026年10月28日、第13回 宗像国際環境会議に登壇し、「海産物の変化」をテーマにお話しする機会をいただきました。

宗像国際環境会議は、2014年に設立され、沿岸部に広がる磯焼けや海洋ごみ問題などに向き合いながら、「海の鎮守の森」構想を掲げ、海の再生に向けた取り組みを続けています。

第13回となる今回は、「常若 再生と循環」をテーマに、10月26日から28日までの3日間にわたり開催されました。

自然や海の再生、気候変動、エネルギー、水、デジタル社会など、私たちの暮らしや未来に関わるさまざまな課題について、各分野で活動する方々が意見を交わす会議です。

私は全日程への参加ではなく、27日夕方のウェルカムパーティーから参加し、翌28日のSESSION6「海に生きる」に登壇しました。

練り物事業者の立場から、日々の製造現場で感じている原料魚や練り製品業界の変化と、博水が取り組んでいる魚の活用についてお話ししました。

第13回宗像国際環境会議に登壇した株式会社博水 江越雄大
第13回 宗像国際環境会議。「常若 再生と循環」をテーマに開催されました。

「常若 再生と循環」をテーマに、海の未来を考える

今回の宗像国際環境会議では、海や自然を次の世代へつないでいくために、さまざまな立場から議論や発表が行われました。

会議全体では、27日に海岸清掃や歴史フィールドワーク、カヌー体験、竹魚礁づくりなど、宗像の自然や歴史を実際に体感しながら学ぶフィールドワークも実施されました。

私はフィールドワークには参加していませんが、会議室での議論だけではなく、実際の海や地域に触れながら環境について考えるプログラムが組まれていることも、この会議の特徴のひとつだと感じました。

宗像国際環境会議が開催された会場
10月26日から28日までの3日間、宗像を舞台にさまざまなプログラムが開催されました。

ウェルカムパーティーでは、揚げたてギョロッケを提供

私が会議に参加したのは、10月27日夕方に行われたウェルカムパーティーからです。

ウェルカムパーティーでは、参加者の皆さまに博水の揚げたてギョロッケを召し上がっていただきました。

会議では海や魚、環境についてさまざまな立場から考える時間がありましたが、その場に参加する皆さまへ、実際に博水の商品を食べていただけたことも嬉しい機会となりました。

揚げたてギョロッケは、魚のすり身に衣を付けて揚げた、博水工場直売店のおすすめ商品です。

揚げたてならではのサクッとした衣と、ふわっとしたすり身の食感を、多くの参加者の皆さまに味わっていただきました。

宗像国際環境会議ウェルカムパーティーでギョロッケを揚げる様子
10月27日のウェルカムパーティーでは、揚げたてギョロッケを提供しました。

SESSION6「海に生きる」で、海産物の変化を発表

私が登壇したのは、10月28日に行われたSESSION6「海に生きる」です。

水中写真家の中村征夫さん、九州大学大学院の清野聡子准教授をはじめ、海に関わるさまざまな立場の方々とともに参加しました。

私は「海産物の変化」を担当し、練り物メーカーの製造現場から見えている魚や原料事情の変化について紹介しました。

宗像国際環境会議 SESSION6 海に生きる

製造現場から感じている、魚と業界の変化

発表ではまず、練り製品業界を取り巻く原料事情についてお話ししました。

現在、冷凍すり身の価格上昇や調達の難しさなど、原料を安定して確保することが以前より難しくなっています。

また、博水が長年扱ってきた原料魚のエソにも、現場で感じる変化があります。

以前は15cmほどの比較的小さなエソが中心でしたが、近年は30cmほどの大きなものが入荷することも増えてきました。

漁獲量や魚のサイズ、仕入れ状況など、日々魚を扱っている製造現場だからこそ感じる変化があります。

こうした環境の中で博水では、入荷が多い時期に鮮魚から自社で冷凍すり身をつくり、原料として保管するなど、できる範囲で安定したものづくりにつなげています。

宗像国際環境会議で海産物の変化について発表する江越雄大
練り製品業界の原料事情や、製造現場で感じている魚の変化についてお話ししました。

魚を加工できる技術を、未利用魚の活用へ

今回の発表では、博水が取り組んできた未利用魚や未利用資源の活用についてもご紹介しました。

そのひとつが、姪浜の漁港で大量に水揚げされ、十分な行き先がなく未利用となっていたコノシロです。

博水では、このコノシロをすり身に加工してつみれにし、学校給食へ納品しました。

そのままでは十分に活用されにくい魚でも、魚を処理し、すり身へ加工することで、新しい食品として活かせる可能性があります。

また、ブリの加工時に出るアラやカマなどの活用、福岡県立水産高校と連携したサメの商品開発などについても紹介しました。

魚を加工する技術を活かして、これまで十分に使われてこなかった魚を、おいしく食べてもらう機会につなげていく。

これは、鮮魚からすり身をつくる技術を持つ博水だからこそ取り組めることのひとつだと考えています。


「汚い」と言われる海にも、懸命に生きる命がある

一方で、今回の会議は、私自身が海や魚を見る視点を広げる機会にもなりました。

特に心に残ったのが、水中写真家の中村征夫さんのお話です。

中村さんは、一般的に「汚い海」というイメージを持たれることもある東京湾にも潜り、そこに暮らす生き物たちを長年撮影されています。

そのお話の中で印象的だったのが、人間から見れば決してきれいとは言えない環境の中にも、必死に生きようとしている生き物たちがいるということでした。

東京湾のお台場で撮影していた際には、フラッシュに反応して一匹のカニが中村さんの方へ向かってきたそうです。

その場ではなぜ向かってくるのか分からなかったものの、後から撮影した写真を確認すると、そのカニは卵を抱えていました。

中村さんは、その姿から、自分自身だけでなく、抱えている卵を守ろうとしていたのではないかと感じたとお話しされていました。

同じ海に潜り、同じカニを見たとしても、私には同じように感じ取ることができなかったかもしれません。

海の環境や、そこで生きる生き物たちに長く向き合ってきたからこそのまなざしに、強く心を動かされました。

私たちは普段、工場に届いた魚を「原料」として見ることが多くあります。

しかし、その魚も工場に届く前には海の中で生き、環境の変化の中で命をつないできた生き物です。

中村さんのお話を聞き、普段扱っている魚のその先にある海や、生き物としての姿を改めて意識するきっかけになりました。


漁師さんから教えてもらった、エソの変化の別の見方

もうひとつ勉強になったのが、宗像の漁師さんとのやり取りでした。

発表の中で、以前は15cmほどだったエソが、最近では30cmほどの大きなものも入荷するようになったとお話ししました。

すると漁師さんから、近場の浅い海から、より遠方の深い海へと漁場が変わってきたことも、入荷するエソのサイズに関係しているのではないかというお話をいただきました。

私は製造現場に入ってくる魚を見ながら変化を感じていましたが、実際に海に出て魚を獲っている方から話を聞くことで、また違った見方があることに気づきました。

一つの変化だけを見て原因を決めつけるのではなく、海に関わるさまざまな立場の人から話を聞くことの大切さを感じた出来事でした。


海を見る人、魚を獲る人、魚を加工する人

宗像国際環境会議で海に関わるさまざまな立場の方々が交流する様子
海に関わるさまざまな立場の方々と、それぞれの視点や経験を共有する機会となりました。

今回の宗像国際環境会議では、海の中で生き物を見つめる人、実際に海へ出て魚を獲る人、そして魚を加工して食卓へ届ける私たちなど、さまざまな立場の方のお話を聞くことができました。

それぞれが同じ海や魚に関わっていても、日々見えている景色は違います。

だからこそ、それぞれの立場で感じている変化や課題を持ち寄り、話をすることに大きな意味があると感じました。

博水としても、海から届いた魚をただ加工するだけではなく、その魚がどこから来て、海で何が起きているのかにも、これまで以上に目を向けていきたいと思います。


海で生きていた命を、おいしく届けるために

練り物づくりは、魚を食べやすい形へ加工し、おいしく届ける仕事です。

そして、サイズや形、魚種などの理由で十分に活用されにくい魚でも、加工の工夫によって新しい食品として活かせる可能性があります。

今回の会議を通じて、改めて「海で生きていた命を、おいしく無駄なく届ける」という私たちの仕事の意味を考える機会となりました。

海の環境や魚の状況は、これからも変化していくと思います。

その変化を製造現場から見つめながら、漁業者や研究者、海に関わるさまざまな方々ともつながり、博水として何ができるのかをこれからも探っていきたいと思います。

宗像国際環境会議という貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

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